Team Cross FA 創立の背景と目的 |天野 眞也(あまの しんや)

 
発表全文

本日はお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。私、天野からは、この「Team Cross FA」創立の背景と目的についてお話をさせて頂きます。

まず初めに、日本の経済の現状から振り返って参りたいと思います。
日本の製造業GDP成長率は、低下かつ横ばいが続いております。これは「失われた20年、30年」と言われております。
かつて日本がトップシェアを誇った家電製品は、韓国・中国勢が中心となり、例えば白物家電、パソコン、薄型テレビ、といった製品で、日本メーカーが厳しい状況になってきています。
このような状況にも関わらず、なぜ、日本の製造業成長率は横ばいになっているのかといいますと、これはひとえに自動車産業によるものです。ただ、今後のEV時代においては、自動車産業も競争がより激化していくことは、ご想像にたやすいことではないかと思います。

日本は、製造技術と真面目気質の人材により、高いコストパフォーマンスを実現する「コストパフォーマンスゾーン」に位置していました。しかし、韓国・中国など、「格安ゾーン」に位置していた国々が、労務費の安さを強みに成長し、日本の「コストパフォーマンスゾーン」を浸食しているという状況になっています。一方、「プレミアムゾーン」への移行には高い壁があり、今、日本は苦戦をしているという状況です。

ここで、貿易収支を見てみますと、日本を支えているのは製造業ということがわかります。
日本は、「モノ」を売って「食料」や「燃料」を買っており、これが日本の現状であります。
では、日本が強みをもつ製品は何かと言いますと、部品点数が多く、生産技術が求められる製品です。日本は、世界シェアが高い製品が多くあり、例えば、自動二輪、デジタルカメラ、A3レーザー複写機・複合機などがあります。
そして、生産技術においての「自動化」は、日本が得意しているところで、産業用ロボットの世界シェアは世界一であり、スマートファクトリーのIoTにおいて重要なパーツであるセンサーのシェアも日本は高いところであります。
さらに、エネルギーにおきましても、火力発電効率はギネス世界記録に認定されているものがあり、太陽光発電効率も日本企業が上位を占めている状況です。
このように考えていきますと、エネルギーを含めた全体最適化されたスマートファクトリーは、日本がNo.1であり、期待できる領域と言えるのではないでしょうか。

では、ここで、「なぜ、スマートファクトリーなのか?」をお話しするうえで、過去の産業革命の歴史を振り返ってみたいと思います。
第一次産業革命は、イギリスが蒸気機関を動力として織物産業で一気に伸展しました。次に、第二次・第三次産業革命は、自動車産業・高級感という点で、アメリカが二連勝しました。
そうしますと、これから第四次産業革命が起こると言われている中、このスマートファクトリーを武器に、勝ち取る国は一体どこの国かということになってきます。この第四次産業革命を制した国が、世界で最も力を持つということは、過去の歴史が証明しております。
もちろんアメリカは三連勝を狙っており、ドイツは「インダストリー4.0」を掲げ、中国も「中国製造2025」を掲げています。

ここで、日本は、100年前どうだったかということを振り返ってみましょう。
100年前は、暑い場合は氷か扇いでもらい、遠くに行く場合は馬車か籠を使い、音楽を聴きたい場合は生演奏をするという時代でした。これらは、当時の貴族の暮らしでした。
ところが、現代は、エアコン、クルマ、スマホがあります。産業革命が日本を豊かにしてきたと言えます。
一方、これらの製品が低価格で提供されるためには、大量生産が必要であり、言い換えれば、日本は、スマートファクトリーのノウハウ(生産技術や製造技術)がたくさん蓄積されている国であると言えます。そこで、このスマートファクトリーのノウハウ(生産技術や製造技術)を全体最適して技術化させていくと、どのような良い事が起こるでしょうか。

一つ目のWinは、人手不足の解消、そして日本の製造業の競争力の強化につながります。
二つ目のWinは、スマートファクトリー化を日本の新たな外貨獲得産業として創出することができます。
三つ目のWinは、エネルギーまで考えた公害に直結しないスマートファクトリー化が、これから世界をもっと豊かにしていきます。

つまり、スマートファクトリー化は、Win-Win-Winとなるわけです。しかしながら、今まで日本には、ワンストップでスマートファクトリー化を担える企業・団体がありませんでした。そこで、私たちは、建物、IT、ヒト、設備、全てをワンストップで提供するチームとして「Team Cross FA」を設立致しました。

是非、「Team Cross FA」の応援を宜しくお願い申し上げます。