#03 スマートファクトリー導入ステップの詳細|飯野 英城(いいの ひでき)

 
発表全文

私、飯野からは「Team Cross FA」の技術サービスについて、具体的に説明したいと思います。

最初に、スマートファクトリー構築に関するステップをご紹介します。大きく4つのステップでサービスを導入致します。
まず、「(1)グランドデザイン」にて、スマート化目的やコンセプトをしっかりと決めます。
次に、「(2)全体分析・構想」にて、現状分析・自動化構想・シミュレーションをしっかり行います。
次に、「(3)デジタル化(デジタルファクトリー)」にて、シミュレーションしたり、工場のコックピットや物流を定義したりします。
最終的には、「(4)リアル化(リアルファクトリー)」にて、デジタルファクトリーで作られたものをきちんとしたシステム・装置にして、導入していきます。

そして、今までは大量生産をしていれば、モノが売れる時代でありましたが、現在は、最適生産が必要であり、いわば、作らない時に作らないようにする、作るときに作るようにするということが必要になります。このポイントは4つございます。
(1)新製品のスピード市場投入(思いついたらすぐにその市場に投入できるような生産ラインの構築)
(2)マスカスタマイズの実現(量産とカスタマイズ、これらを統合したような生産ラインの構築)
(3)国内・海外工場のリソースの最適化(エネルギー、スペース、人員コストを考慮した、バランスのとれた最適自動チューニング)
(4)時代の変化に合わせた、生産ラインの組み替え・製造

次に、具体的にスマートファクトリーを作る流れをご説明します。
まず、どのような設備を作ればよいか、全体分析、製品設計から工程構想設計などを行い、これらをデジタル化してデジタルファクトリー上に落とし込んでいきます。
そして、デジタルファクトリー上では、どのような生産順が良いか、中間在庫の状態はどうか、人の配置はどうか、など様々な要素をデジタル上でシミュレーションします。これにより、リアルな工場で本当に確かに動くのかどうかを、きちんと検討できるというわけです。
その上で、リアルファクトリーに落とし込んで実装します。そしてリアルファクトリーから出たデータをクラウド上にあげ、データ管理、見える化を実現していきます。更に、最終的には、エネルギーの観点で、省エネ・最適エネルギーを実現していきます。
こういった技術サービスというものを我々チーム・クロス・エフエーは提供していきます。

なお、データを取り扱いますので、もちろん、セキュリティが重要です。
以前は、ローカルで工場内のサーバーにデータをためるケースが多かったのですが、今後はクラウドにてデータ活用してIoT化、見える化というところを構築していくケースが増えていきますので、より一層、セキュリティというものが重要になってきます。

更には、デジタルファクトリーやリアルな生産設備だけではなく、物流・作業の流れ(部品の入荷から出荷、在庫からの出庫 等)を分析し実装していく必要があり、最適な物流手法として、例えば、AGV(自動搬送車)であったり、デジタルピッキングや、物流ロボットなどを導入していきます。

それでは、ここで、事例を示したいと思います。

今までの工場内の生産ラインとしては、コンベアーラインに人が並んで作業するという形が一般的でした。最近では、これを自動化するということで、コンベアーラインの人をロボットに置き換えるという構想を聞くことがあります。

しかし、最適生産を目指すためには新しい構想が必要です。その新しい構想として、「超フレキシブル型最新デジタル生産」となる「ロボット型デジタルジョブショップ」があります。

これは、AGV(自動搬送車)などを用いて工程間を自動搬送していく、カスタマイズが必要な製品はカスタマイズを行う工程に自動に移っていく形です。つまり、製品が主体になり、自動搬送車がどんどんロボットのところに行き、作業をしてもらうということです。各ロボットの部分は難しい工程というのをあえて作らず、組み立ては組み立てだけ、ねじ締めはねじ締めだけ、というように、シンプルに生産ラインを構築していきます。
「ロボット型デジタルジョブショップライン」は、生産数増減に応じて自由に組み替えができるため、最適生産を実現できるということになります。

「Team Cross FA」では、栃木県の小山市にて、スマートファクトリーコンダクターラボ(スマラボ)という展示場を運営しております。今秋、リニューアルをする予定でございまして、本日ご説明いたしました「ロボット型デジタルジョブショップライン」のリアルな展示をしたいと考えておりますので、是非、見学にお越し頂ければ幸いです。

以上でございます。