製造業は再び輝ける

日本の生産技術を埋もれさせてはいけない

日本の製造業においては、大手と系列企業という構造が強く、大手の自社工場では基幹部品や最終工程だけを受け持ち、他工程は系列企業の工場を水平分業化することによって生産性を上げてきました。また、各系列ごとに高度な生産技術・製造技術を開発し、それが高い品質と適正なコストの製品につながり、結果、日本の製造業が世界で尊敬される重要な要因になっています。
一方、その発達した技術は他社との共有がなされていません。もしソフトウェア業界における「オープンソース」の様に技術が公開され、相互に利用・発展させることができれば、より多くの恩恵がうまれ、製造業だけではなく、その製品を購入するすべての人に行き渡ります。
特に生産技術・製造技術はありとあらゆる技術の組み合わせ、すり合わせで成り立っています。機械設計だけが優れていても、それを制御する技術が必要ですし、それらを運用するノウハウも重要です。本来はそれぞれが持っている優れた技術をオープンにして、相互に活用することで、さらなるイノベーションが起きる。生産技術・製造技術はそのような大きな可能性をもった分野です。
本来、多くのエンジニアは、諸先輩が開発した優れた技術を積極的に取り入れ、視野をひろげ、自身はさらに新しい分野や新しい組み合わせでさらなるイノベーションを起こしたいと願っているはずです。
そのための技術は日本にはあります、私たちは特定グループに属さないという強味と多くの経験を活かし、そのイノベーションを協力に推進していきます。

製造業は国内市場が伸び悩み、グローバル化に活路を見出す必要があるのは周知の事実です。そしてガソリン自動車から電気自動車の動きの様に、必要とされる部品やその製造工程、技術もドラスティックに変わろうとしています。さらにあらゆるものがネットワークにつながり、機械・制御・ソフト・セキュリティなど多くの領域の技術を理解していないと、ものづくりができないという状況は、今後さらに加速するのが明白です。つまり、エンジニアは一部の工場のことだけ知っていればいい、得意な領域だけ技術を磨けばいい、そんな時代は終わったのです。

私たちは、特定の系列に属さず、業界も特定せず、また、国内外問わず、実にさまざまなブラックボックス化、聖域化された工場を見てきました。そのため、各業界独特の慣習や、世の中の評価に縛られることなく、俯瞰してファクトリーオートメーション業界の現状を見、今、本当に必要なことは何なのかを判断し、行動を起こすことができます。日本の技術の粋をかたちとして世界に届けることができます。

私たちが描く明日とは

日本の強みを活かして世界を豊かにしたい。

かつて「涼む」という行為は、仰いでくれる使用人をもつか、氷を買う事ができる上流貴族だけの特権でしたが、今は違います。写真を撮影し、地球の裏側の友人に送ることもスマートフォン一つで瞬時にできます。電卓や腕時計も100円ショップで買うことができます。自分仕様のPCも数日で入手することができます。どれも「製品の開発」もさることながら、「生産技術」の革新が実現した恩恵です。「生産技術」により、高品質な製品が大量に安く作れるようになり、過去上流貴族だけの特権であったことが誰でも簡単に実現できる様になりました。

かつて「Made in Japan」は品質もコストも最適な工業製品の代名詞でしたが、家電製品に代表される民生品は生産地だけではなく、ブランドも新興国にすっかり置き換わってしまいました。しかし、それらを製造する「製造装置」については日本が世界をリードしています。その証拠に産業用ロボットメーカーのシェアでは日本がトップで、上位3社のうち2社が日本メーカーです。半導体も日本製半導体製造装置がないと作れないという状況は変わりません。いずれも精度、耐久性、単位時間あたりの製造数(タクト)など、数字やスペックが明確にできる技術で、そこに日本の強みがあります。その「製造技術」「生産技術」という日本の強みを活かして世界を豊かにする。そのために、当グループが発信基地となり、製造業全体を活性化させていくことができると確信しています。

明日のために今すべきこと

後世に語れる仕事をともに。

これからの製造業のために、私たちは、大きく3つのことを実現したいと思っています。1つ目は、オープン化。現状、日本の製造業では、各分野で1社または数社による独占・寡占状態になっていて、類似製品であっても、他社の製品・技術が活用できないということがよくあります。これでは、必要な競争も生じない。このような現状を踏まえ、部品も技術もオープン化したいと考えています。2つ目は、グローバル化。すでにはじまっているスマートファクトリー、デジタルファクトリーの潮流をのがさず、意欲のある人材を日本にとらわれず世界で探し、今から育成しています。3つ目は、規格化・ルール化、それをASEANにもっていくことでファクトリーオートメーションのさきがけとして、クライアントに有益な“場”を提供していきます。これら3つ実現を通じ、私たちは製造業が飛躍するためのプラットフォームになりたいと考えています。

日本には、優秀な人がいて、技術があり、お金もある。こんな国は、なかなかありません。今こそ動いておかないと。日本の製造業の将来に対して、危機感を持ったメンバーや企業、団体が集まり、「コネクテッド・エンジニアリング」を実現し、ともに世界に誇れるファクトリーオートメーションを手がけてくれたらとてもうれしいです。数十年後、「今の日本の発展は、俺がつくったんだぞ」と後世に語れるような仕事をご一緒できれば幸いです。